歌:島津悦子
作詞:佐野文香
作曲:山崎剛昭
何を言うやら 旅鴉
息子気取りの 嘘っぱち
小銭目当てじゃ ないならば
やくざ姿で やくざ姿でなぜ来たか
確かに私にゃ 江州阪田(ごうしゅうさかた)に残してきた
「忠太郎」という息子がいましたよ。
なんでお前さんがそのことを知っているのかわからないが、
その子は五つの時に死んだはずだ。
お前さん、水熊の金を狙ってのゆすりたかりなら、とっとと帰っておくれ!
もしやほんとに 忠太郎
訪ね訪ねた 旅道中
胸に抱きしめ よく来たと
言ってやりたい 言ってやりたい母ごころ
ひとり残してきた幼い息子のことを、忘れたことなどありゃしない。
ああ、どうして置いてきてしまったんだろう、甘え盛りのあの子はきっと、
おっかさん、おっかさんと毎日泣いて暮らしたに違いない、
すまない、すまない忠太郎…。
だけど私にゃ「お登世」という可愛い一人娘がいる。
風来坊のような男が兄だなんて、
世間に知られるわけにはいかないんだよ…。
店(たな)と娘を守るため
口に出たのは 責め言葉
許しておくれ 忠太郎
夢に見ぬ夜は 夢に見ぬ夜はないものを
「忠太郎」
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