歌:山本正之
作詞:山本正之
作曲:山本正之
男まさりのモエギがリュックを片肩にしょい
行方知れない妹アサギを探して
イカダの形の船にトンと乗ったのは
西暦2000年の朝
軌道の彼方に不気味に燃える彗星
サイエンティストの計算ではあと何日かで
青いまぶしい美しい地球に
ドスンと衝突をする
屋根裏にかくれてみつけた
謎めいた古地図
消えかかる文字のジュモンは
「ベルを鳴らせ」
SALABA SALABA 遠ざかる家よ SALABA
いちどだけ もう一度だけ 子供の海へ
いくつもの夜を過ぎて
チャネルをベイを越えて
アーチェリーのような島に上陸すれば
ストリートゆく人の瞳はうつろ
言葉もない唄もない
ハローハローこれがアサギの写真です
けれども誰もふり向かない答えてくれない
月をかすって頭上に迫るホーキの粉が
鼓膜を塞いでる
にび色の雲が膨らんだ
うす暗くなった
ポケットの中で囁くよ
「ベルを鳴らせ」
SALABA SALABA あこがれの街よ SALABA
いちどだけ もう一度だけ 子供の海へ
とうとう閃光と轟音が世界を混ぜて
人類の故郷にソードが突き刺さる
大陸は上下に揺れて大波にのまれ
バラもカエデも絶えてゆく
細かいチリとガスが大気圏に入りこみ
お日様の顔も見えない地軸もいざった
ガリレオもコぺルニクスももうわからない
モエギは何もできない
ケモノたちが泣きわめき スピードで逃げる
体のどこかが叫んでる「ベルを鳴らせ」
SALABA SALABA なつかしい星よ SALABA
いちどだけ もう一度だけ 子供の海へ
イカダの形の船は古地図に示された
不思議な曲線の海溝にたどり着き
モエギは何かに曳かれるように
ビリジアン色の 地図を泡の中に揺らす
海と絵の具と嵐がとけあって
やがて小さな ベル が浮いてくる
そしてそのまわりには渦が巻きあがり
アサギがあらわれる
ずっとずっと待っていました愛しい姉さん
あなたは私の幾度目かのお誕生日に
折り紙でこしらえたかわいいベルを
私の胸にリボンでかけて
昔の本の箱舟のページをめくり
きっとこんなに悲しいことが起こるから
必ずあなたを護ってみせるから
このベルを鳴らすのよ
そう約束して私を抱きしめて
冬の空気に蒸気が入るように
春の風がおでこに入るように
あなたの中に私を入れた
綺麗な時間が盗まれたら大変だから
その日の日記を一枚きりとって
海の色の絵の具で塗りつぶし
屋根裏の奥にかくした
ずっとずっと呼んでいました優しい姉さん
あなたの ベル をこの気流に飛ばしたら
きらめく音が大気をふるわせて
素晴らしいことが起こるでしょう
山は枯れて森は沈み大河は暴れ
動物の足音ももう聞こえない
鳥の羽音も魚が水を通った跡も
暗闇の果てなのか
今 モエギの想いが透明になり
あの日の熱い記憶によみがえる
幼い頃にしかできない超能力を
とりかえしているように
モエギはアサギの胸からリボンを解いて
特別なときに零れる涙のしずくを
小さな ベル にひと粒しめらせて
空に向かって投げる
RINGLONG RINGLONG
鐘ノネ響キテ RINGLONG
いちどだけ もう一度だけ 子供の海へ
空から空へと連なった きらめくベルの音
山に森に鳥に魚に 光が差した
RINGLONG RINGLONG
鐘ノネ響キテ RINGLONG
いちどだけ もう一度だけ 子供の海へ
人と人とは離れても ひとつのものだから
心の星が痛んだら「ベルを鳴らせ」
SALABA SALABA きずついた時よ SALABA
いちどだけ もう一度だけ 新しい海へ
いちどだけ もう一度だけ 子供の海へ
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