ばってん荒川 屋台 歌詞

歌：ばってん荒川

作詞：たかたかし

作曲：弦哲也

『ウーッ､寒か｡冷えるばい
さあー､いっちょう今夜も 火ば入れるかい｡』

『どぎゃんね､故郷のおふくろさんの病気は｡･･････
おぅ 少しは良かね｡そりゃあ良かった｡
歌手になりたかちゅうて､
あんた家ば飛び出したんだろう?
親御さんたちは心配しとりゃすばい｡
たまにゃあ手紙書いて､安心させてやらにゃあー｡』

スターになる夢 こころに抱いて
ギター片手に 夜の路地
出世払いで 飲んでおゆきと
声かけりゃ ペコリとお辞儀する
｢つらかとネ､人生は
ばってん気ばって 生きんしゃい｣

『なんばしょっとね｡いつまでぐちぐち酒飲んで
あんたらしゅうもなか､陽気に歌でも歌わんね｡』

仁義がすたれば この夜は闇だ
酔えば十八番の やくざ節
時代の流れに 背中をむけて
意地をはる男の ひとり酒
｢つらかとネ､人生は
ばってん気ばって 生きんしゃい｣

『そうですか｡たったひとりのお嬢さんを､
嫁に出しなはったと｡･･････
北海道て言うたら遠かですばいね｡
心配でっしょう｡淋しかでっしょう｡
おふたりの気持ちはわかりますばい｡
あたしんとこなん､
おかげさんで一人息子が嫁もろうてですな､
今はカカアと二人暮らしですたい｡
昔は那珂川小町なんて言われた女ですばってん､
もう梅干し御前ですたい｡銭も貯まらんで､
年ばっかとってしもうて･･････
利息もつかんちゅうて､
二人でよーく笑うとりますたい｡
だけん､カカアには頭があがらんとですたい｡
梅干しだろうと､でがらしだろうと､
わしにゃあ大事な宝物ですたい｡』

あなたにずいぶん 泣かされました
苦労をかけたね すまないね
注いでつがれる 夫婦盃
いたわりが絵になる ふたりづれ
｢つらかとネ､人生は
ばってん気ばって 生きんしゃい｣

『早かなあ｡この那珂川のほとりに店ば出して､
いろいろな人が通りすぎて行きなはったばってん､
みんな一生懸命生きとった｡
こうして今日まで生きてこられたのも､
お客さんのおかげですばい｡』

人生さまざま 表があれば
裏で酒飲む 人もいる
夢をこぼして 夢をひろって
まわり道今夜も 赤ちょうちん
｢つらかとネ､人生は
ばってん気ばって 生きんしゃい｣

『生きて行くちゅうこつぁ､むずかしかね｡
ばってんこればっかりは投げ出すわけにゃあ
いきまっせん｡
あんたー､明日も気ばって生きんしゃいよォー』