歌:さだまさし
作詞:さだまさし
作曲:さだまさし
初めて暮らしたアパートは
きつい西日の安い部屋
お前と寄り添い暮らすには
それでも手頃な部屋だった
隣は貧しい画学生
廊下まで絵の具を匂わせて
いつでも腹を空かしてたっけ
お前の料理に救われていた
人というものは哀しいもの
生まれて生きて
誰かと 出会い愛し合い 時に憎みあい
別れ そして死ぬるまで
おのれの舵すら おのれで取れず
迷い迷って生きている
いつしかお前は絵描きに惚れて
ひっそり二人で出ていった
忘れていった絵の具のような
サンドベージュの空の日に
あの後 名画座の客席で
たったひとりで泣いたっけ
少しも恨んじゃいないんだ
お前が一番苦しんだはず
仕事帰りに坂の下から
ふたりの窓の明かりが見えた
短いけれど 貧しいけれど
幸せだった 春のこと
人というものは哀しいもの
生まれて生きて
誰かと 出会い愛し合い 時に憎みあい
別れ そして死ぬるまで
おのれの舵すら おのれで取れず
迷い迷って生きている
夜になれば夜空の 星より沢山の
家の窓辺に灯が点る
ひとつひとつに 生命とそれから
それぞれの物語(ドラマ)がある
悲しみ 喜び 泣いて 笑って
誰もが必死に 生きている
生きてゆくという そのことは
本当はとてもささやかなこと
そんな風に思えるような
穏やかな 秋のこと
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